Mary McHugh
出版社:Hyperion (1999/2/3)/Paul H. Brookes Publishing Co.(2002, Revised Edition)
発売日 : 1999/2/3
言語 : 英語
ハードカバー : 256ページ
ISBN-10 : 0786862858
ISBN-13 : 978-0786862856
ISBN:1-55766-607-5(Revised Edition)
※必読書の1冊だと思います(邦訳はないので英語がハードルですが…)。
第1部 幼年期 Childhood
1 あなたが必要としていること
メアリーの幼年期の回想
*親の悲嘆を共有する必要性
きょうだいの体験1例
Debra J. Lobatoの助言
*親の関心を必要とする
メアリーの幼年期の回想
きょうだいの体験2例
Alexandra QuittnerとLisa Opipariの嚢胞性線維症の子どもの母親ときょうだいについての論文の紹介
きょうだいの体験2例
1例は他の家庭が自分の居場所だったという女性
1例は母親と2人きりの時間について話した女性
*完璧でなければいけない必要性
S.V. Colemanの論文の紹介
Debra J. Lobatoの意見 → きょうだいの強さでもある
きょうだいの体験3例
*情報を必要とする
幼いときに必要とする情報について
もう少し大きくなったときに必要とする情報について
Debra J. Lobatoの親への助言
Debra J. Lobatoが8~12歳のきょうだいのためのワークショップで行っている、いじめられたときの対処法の練習について
ピアプレッシャーのある12歳前後について
8歳以下のきょうだいが必要としている障害に関する情報について
*どうして親にとっては障害について(きょうだいに)話すことがむずかしいのか
悲嘆の5段階(Elisabeth Kubler-Ross)
きょうだいの体験3例
時代は変わって今はSibNetがあるという話
2 あなたの両親の結婚
*あなたの家族の問題解決スタイル
Dianna Baumrindのペアレンティングの種類の定義 独裁主義的、命令的、寛容的
メアリーの回想-家の中の沈黙、お酒とゴルフに逃げ込んだお父さんのこと
アルコールに逃げたきょうだいの体験1例
1930年代の米国の「障害児は施設へ」の考え方
それが1960年代にも続いていたという証拠の、ある家族の体験1例
時代は変わって、今は親のための情報が充実してきていること
早期介入プログラム
レスパイトケアプログラム
地域にある社会的資源
parent to parent プログラム(日本のどの親の会も導入していないようだが、「先輩の」親が、障害児の親になりたての「新米の」親を、1対1の関係で支援するというもの、もっとも状況が似ている人を探してマッチングをする、"The Parent to Parent Handbook"という本が出版されている、お薦め本)
メアリーの回想-お母さんは大勢の友人をよんでたびたびホームパーティーをしたこと、両親の結婚がもっとよいものであったなら、人生はもっと楽だったはずだということ
*結婚生活がうまくいかなくなったとき
障害児のいる家庭での夫婦関係についての論文の紹介
Stoneman と Brody の本 "The Effects of Mental Retardation, Disability, and Illness on Sibling Relationship"からの引用
赤ん坊が生まれると夫婦関係には影響が出るが、その子が障害をもっていたら影響が大きくなる
メアリーの回想-理想を失った(lost ideals)お父さんの悲嘆について
自閉症スペクトラムの兄(弟)がいる、あるきょうだいの体験
家族カウンセラーの話-障害児が生まれて親密になる場合と離婚にまで至ってしまう場合
ある女きょうだいの体験(お母さんが"サポートグループ"で受けた嫌な体験)
*父親たち
メアリーのお父さんについての回想
父親たちが日々の障害児の世話から手を引いてしまう理由についての考察
"Families of Handicapped Children: Needs and Supports Across the Lifespan"からの引用
弟が知的障害のある女きょうだいのお父さんとの関係の体験
父親に対する支援における課題(by Donald Meyer)
10年以上父親支援プログラムを運営しているワシントン州Belleveの父親ネットワークの James Mayによる、お父さんができる健常の子どもたちを手助けする方法について
ソーシャルワーカー(Gina Shulman)から見たお父さんたち
"Hidden Victims, Hidden Healers" の著者である Julie Tallard Johnson による、父親と母親の危機(障害児の誕生や子どもの精神病の発症)に対する反応のちがいについて
アルコール依存症の母と2人の知的障害の兄弟がいた女きょうだいの父親との関係の体験
Markowitz, J.の論文 "Participation of fathers in early childhood education programs" の紹介
父親の積極的な関わりがポジティブな効果を与えた女きょうだいの体験
早期介入プログラムで働いている Linda Fox があるお父さんから言われたこと、「親のためのミーティングと書かれても、父親たちはそのミーティングが自分たちのためのものとは思わない。父親も支援の対象だというなら、"父親"と母親のためのミーティングと明記するべきだ。」
メアリーの回想
感情を押し殺していると、きょうだいには罪悪感と不適応が起きる。次の章では私たち(きょうだい)の感情について考えてみましょう。
3 あなたの感情とそれらにどう対処するか
*メアリー自身が感じてきた感情とそれを押し殺してきた体験の回想
*怒り
*人生は不公平だということへの怒り
Helen Featherstoneの "A Difference in the Family - Life with a Disabled Child" からの引用
弟が精神障害のある女きょうだいの体験
*親を喜ばせようと努力してへととになるきょうだいたち-まるで努力すればするほど感謝されなくなるように思える怒り
ビデオ "The Rest of the Family" からあるきょうだいの体験
*怒りが罪悪感につながるのは、家族のお金が障害児のためにばかり使われることに対して怒りを感じたとき
知的障害の兄(弟)と精神障害の兄(弟)がいる、ある女きょうだいの体験
*障害のある兄弟姉妹が自分の持ち物を壊したときに感じる怒り
Siblings for Significant Change のディレクターである Gerri Zatlow (兄(弟)が自閉症スペクトラム)の体験
自閉症スペクトラムが専門の Sandra Harris のコメント
雑誌 "Glamour" に載った、脳性麻痺の兄(弟)がいる Lydia Ross の体験、記事のタイトルは "I could not love my brother"
*楽しみにしていた旅行などが兄弟姉妹のニーズのために(何度も)おじゃんになってしまうときに感じる怒り
てんかん発作のある姉(妹)がいる、女きょうだいの体験
*普通の家庭に産んでくれなかったことへの親に対する怒り
二分脊椎症の姉がいる女きょうだいの体験
*親が障がいのある子を甘やかしたときに感じる怒りー長期的に見れば、それは障がいのある人自身が将来困ることにつながるから
だんだん目が見えなくなる色素性網膜炎の兄(弟)がいる女きょうだいの体験
*母親にばかり「仕事」をさせる父親への怒り
躁うつ病の兄(弟)がいる女きょうだいの体験
*同年代の仲間が障がいのある兄弟姉妹を冷たくあしらったときに感じる怒り-同時にこんな兄弟姉妹がいなければと思ってしまう
*怒りに対処するための現実的な提案-"Views From Our Shoes" から13歳の兄がいる10歳の少女の話を引用、兄のお守りを常に要求されることへの怒り → 自分の感じている怒りは親に伝えること、でもわめいてはいけない、親が聞いてくれないときは手紙を書く、ぼそぼそ泣き言を言っていてはだめ!
*怒りを押しつぶすことは、他の感情も押し殺すことになる-心理学者の Stephen P. Bank と Michael D. Kahn の "The Sibling Bond" からの引用
*「子どものときに怒りは悪い感情ではなく、怒りを感じたとしても自分たちはひどい奴ではないとわかっていたら、私たちきょうだいは罪悪感をもたないですむでしょう。」
*Sandra Harrisからのアドバイス
*罪悪感
*なぜ障がいのある兄弟姉妹に対して怒りを覚えることに、きょうだいは罪悪感を感じるのか
Stephen P. Bank と Michael D. Kahn の 説明
メアリーの回想-弟をからかったことと罪悪感
耳が聞こえない兄(弟)を「だました」男きょうだいの体験−"It Isn't Fair" からの引用
怒りの項でも出てきた色素性網膜炎の兄(弟)がいる女きょうだいのした「意地悪」の体験
*「いちばん問題なのは、ときに障がいのある兄弟姉妹に対して意地悪な気持ちになるから、自分はひどい人間だと思って育ってしまうこと。」
*精神科医の John S. Rollandの研究の紹介
*"Ordinary Families, Special Children" からの引用
*障がいのある兄弟姉妹に対する否定的な感情をもつこと、表現することが許されないときょうだいの心理には何が起きるか
*メアリーの感じてきた罪悪感
*サバイバーズ・ギルト(生き残った者の罪悪感)
オリンピックで決勝戦までいってもどうしても勝てなかったある男きょうだいのもっていた潜在的な思いについて-心理学者に指摘されて気づいた
William Bauman が行った双児の片方が二分脊椎症のきょうだいの研究の紹介
お兄さんが自閉症スペクトラムの女きょうだいの罪悪感にうまく対処している例
*恥ずかしさ/困惑
*メアリーの回想
*公の場所で普通ではない行動をとる兄弟姉妹がいるときの恥ずかしさ
Stephen P. Bank と Michael D. Kahn の "The Sibling Bond" からの引用
雑誌 "Boy's Life" に載った Donald H. Shillingburg の体験(ドナルドが9歳、障がいのある姉が12歳のときの体験)
*兄が自閉症スペクトラムの女きょうだいの体験-じろじろ見られたときに「激しく」対抗
*親が障害児(病児)本人に障害(病気)のことを告げていないときに感じる困惑
だんだん目が見えなくなる病気の弟がいる女きょうだいの体験
*雑誌 "Exceptinal Parent" に載った Julia Ellifritt の体験-何でも自分と同じことをしたがるダウン症の妹に感じた苛立たしさと困惑
「幼い子どもたちは、自分が感じている障がいのある兄弟姉妹に対する恨みが、何と言うものか(何と定義されるものか)もわかっていません。子どもたちはただ、親に怒りを感じ、障がいのある兄弟姉妹に怒りを感じ、人生一般に怒りを感じているのです。なぜなら、ものごとがあまりに不公平に思えるからです。これは対処するのが大変な感情です。なぜなら、自分がみじめに思え、どこに助けを求めたらよいか分からないからです。ですから、きょうだい支援グループというのは、こうした感情すべてのすぐれたはけ口です。子どもたちは、自分と同じ年代の他の子どもたちが、親には言えない感情を表現するのを聴くことができ、それは大きな安堵となります。」
*きょうだいのための助け
*シブショップ(Sibshop)の紹介
*米国ニュージャージー州の学校で心理学者 Claudia Sabino Benowitz が進行役をしているシブショップの紹介(自閉症スペクトラムの子どものきょうだいのためのシブショップで、遊戯療法を取り入れたもの)、学校がシブショップを廃止しようとしたときに、子どもたちが猛烈に親に抗議して、親たちが自分たちで Claudia に謝金を支払うことで、シブショップは存続し続けた。
*Claudia のシブショップに参加していたある男の子の話-ふたごの兄(弟)といつも同じ格好(服、メガネ等々)をさせられていた
*家族の中でいちばん年下、あるいはいちばん年上、あるいはいちばん兄弟姉妹の世話をしているということは、どういうことか議論するアプローチ
*Debra Lobato の話-きょうだいのためのワークショップを始めたときには、周り(学界の人たち)は反対者ばかりだった、けれども親たちは賛成だった
*Debra のシブショップに参加していたある女の子の話-医療的ケアをたくさん必要としている脳損傷の弟がいるが、文句を1つも言わない「聖人」が、同じ境遇の文句タラタラの少女の話を聴いた後に、やっと現実的な否定的な感情も表現するようになったこと
*バルチモア州のKennedy Krieger Institute のプログラム
*妹が知的障害になったのは自分が妊娠中のお母さんと言い争いをしたからだと思っていた12歳の少年
*22歳になるまできょうだい支援グループに行く機会がなかった女きょうだいの意見
*ピッツバーグでユダヤ人家族とその子どものためのサービスコーディネーターをしているJoan Charlsonの意見-もっと頻繁に開催してほしいという子どもたちの声
*以前発行されていた Sibling Information Network のニュースレターに載ったMaryjane Westra の親にあてた公開の手紙-Maryjaneは現在障害児のための養子縁組会社を運営している
*障害のある兄弟姉妹がいるとき、きょうだいが人生に適応するための要因はたくさんあります。次の章ではそれらのいくつかを見てみましょう。
4 あなたを形作ったもの
*メアリーの回想
*「きょうだいがうまく適応する、あるいは心理学者のいうところの危険な状態になる、その要因は何かを知りたいと思い、専門家の書いた文献を読み、きょうだい支援グループをリードしている人たちと話しましたが、明快な証拠は見つかりませんでした。」
*心理学者Debra Labatoの意見
*自閉症スペクトラムの男きょうだいのいるGeri Zatlowの体験
*「私が読んだ研究はきょうだいがどういうふうになるか、矛盾した結果を示していましたが、ちがいを作るであろういくつかの要素を示しています。障害の種類別に見ていきましょう。」
*障害の種類と程度
脳性麻痺、二分脊椎症、知的障害と言っただけでは、普通の人にはその背後にどんな大変さがあるか分かりません。
嚢胞性線維症
人類学者の Myra Bluebond-Langner の研究の紹介と彼女の意見
脳性麻痺
ある女きょうだいの体験
"Glamour" に載ったある女きょうだいの体験
「目に見えない」障害
身体的要素として障害がわからないとき-ASD自閉症スペクトラム、てんかん、嚢胞性線維症、聴覚障害、学習障害、ADHD、糖尿病など
「私はどの障害も-軽くても重くても-私がインタビューしたきょうだいに同じ反応を起こさせるのか知りたいと思っていました。そして、兄弟姉妹の障害にかかわらず、ほとんどのきょうだいが恨み、罪悪感、困惑(恥ずかしさ)、怒り、誇りといった同じ感情を経験していることが分かりました。」
*20年以上障害者のきょうだいを研究していて、障害児の父でもある Thomas H. Powell の話
*きょうだい支援グループを運営している Sue Levine の話
聴覚障害
*両親と男きょうだい2人は耳がきこえなくて、自分だけが健聴者の女きょうだいカーリーの体験
少しの支援のみを必要とする知的障害
*1歳半離れた弟が軽い知的障害の男きょうだいアレックスの体験
*男きょうだいが軽い知的障害の60代の女きょうだい Rosalie の体験-ビデオThe Next Step より
*「軽い知的障害は外の世界と対処することがより大変になる可能性がありますが、重い知的障害に比べると普通家族にはストレスが少ないものです。」-461家族を調べた研究から
*461家族を調べた Marty Whngaarden Krauss, Marsha Malick Seltzer の研究の紹介、ダウン症とそれ以外の知的障害の人の家族のちがい
*妹がダウン症の男きょうだい Graham の体験
自閉症スペクトラム(ASD)
*自閉症スペクトラムについての簡単な説明
*女きょうだい Geri Zatlow の体験
*Sandra Harris のコメント-早期介入プログラムが家族、なかでも健常のきょうだいに与える負担について
精神障害
*知的障害と精神障害がきょうだいに与える影響を調べた Marsha Mailick Seltzer, Jan S. Greenberg, Marty Wyngaarden Krauss の研究の紹介
論文タイトルは A comparison of coping strategies of aging mothers of adults with mental illness or mental retardation.
掲載雑誌は Psycholgy and Aging, 10, 64-75, 1995
* Elizabeth Swados 著の "The Four of Us: the Story of a Family" からの引用
*いつ障害が起きたか
「障害のタイプに加えて、きょうだいの適応に影響を与える別の主要要因は、いつ障害が起きたかということです。」
* Seltzer, Greenberg, Marty の論文の紹介とMarty Krauss のコメント
*生まれた順番と性別
*年下のきょうだいが年上のきょうだいを追い越したとき
*家族の人数
*結論
第2部 思春期~青年期 Adolescence
5 思春期の苦悶
*新しい友人に困惑
精神障害
*適応する
*人生は不公平
*怒りと欲求不満
*罪悪感
*助けを求める
*愛と誇り
6 あなたはだれ?
*家族での話し合いに入れてくれるよう頼む
*アイデンティティを求めて
*見捨てられ不安
*ピアプレッシャー
第3部 成人期 Adulthood
7 話す相手
*怒りに対処する
*だれかに話す
シブネット
友人
8 あなたの人間関係
*ケアテーカー
*エスケープアーティスト
*兄弟姉妹の障害が結婚相手に与える影響
いつ、あなたは障害について話す?
*友人を選ぶ
*親戚
9 あなたの職業
*援助職を選ぶ
*援助職が最適な選択でないとき
10 自分自身の子どもを持ちたいと思うか?
*障害を発見するための出生前診断
*子どもをもつべきかどうか決める
11 あなたの兄弟姉妹をだれが世話するのか?
*将来について親に話す
*よい法律家をみつける
*居住形態を決める
*あなたの兄弟姉妹をだれが世話するのか決める
*親に子離れを促す
12 愛のように思える
*愛と誇り
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